Geminiでは、CADから出力した住宅パースやラフCGをアップロードし、日本語で変更内容を指示して、光、素材、植栽、背景などを整えた提案画像を作れます。個人のGoogleアカウントでも試せますが、工務店で継続利用する場合は、Google Workspaceの組織アカウントを基本とし、管理者が利用者とデータの扱いを管理できる環境を推奨します。
工務店で使う際は、最初の指示を整理し、一度の生成で完成度をできるだけ高めることが基本です。そのうえで、元の建物形状を確認し、必要な箇所だけを修正します。本記事では、初めて使う方が迷わないように、画像の準備、実写化プロンプト、確認、仕上げまでを順番に解説します。
先に結論
無料で試せますが、生成回数や利用状況には上限があります。
無料利用ではNano Banana 2の画像を1Kでダウンロードできます。Google AIプランでは2Kに対応します。
AIの出力は検討用イメージです。窓、屋根、寸法、建材、設備は元図面と照合します。
工務店で継続利用する場合はGoogle Workspaceを基本とし、生成量が多い担当者にはAI Expanded Accessを検討します。
住宅実務25年以上の現場で感じる「住宅パース作成」と業務過多の壁
工務店の現場では、設計、見積、打ち合わせ、施工管理を少人数で兼務しながら、短い時間で分かりやすい提案を求められます。ところが、CADから出した標準パースのままでは素材感や光、暮らしの雰囲気が伝わりにくく、画像を作り込むほど担当者の作業が増えるという壁があります。
さらに、外壁色、サッシ、植栽、時間帯などの変更が重なるたびに、再出力や画像加工が必要になります。高品質なCGを外注する方法もありますが、費用や納期は案件や依頼先によって異なり、すべての初期提案で使えるとは限りません。これは、住宅実務25年以上、建築CG30年の現場で繰り返し感じてきた課題です。
GeminiはCADや設計業務そのものを置き換える道具ではありません。元のCADパースを基準に、素材、光、外構を短時間で整え、提案画像の仕上げ工程を軽くするために使います。ゴールは「きれいな画像を作ること」だけではなく、建物の条件を守りながら、お施主様が完成後の暮らしを想像しやすいフォトリアルな住宅パースへ近づけることです。
Geminiで住宅パースを作る前に知っておきたいこと
2026年9月時点のGeminiアプリでは、画像生成と画像編集にNano Banana系のモデルが使われます。モデル名や提供状況は変わる可能性があるため、導入時はGeminiアプリ内の表示とGoogle公式ヘルプを確認してください。
モデル | 利用条件の目安 | 住宅パースでの使い分け |
Nano Banana 2 Lite | GeminiをFlash-Liteに設定したとき。複数画像の参照や複数回の編集には非対応。 | 簡単な雰囲気確認や、速度を優先した初期案。 |
Nano Banana 2 | FlashまたはProで画像生成を依頼したとき。AIプランなしでも利用可能。 | CADパースの実写化、部分修正、複数の参照画像を使う検討。 |
Nano Banana Pro | Google AIプランで利用可能。Proでの再生成に使用。 | 細部、文字、整合性をもう一段確認したい重要な提案画像。 |
AIプランなしでも画像生成は利用できますが、上限は固定回数として保証されていません。Googleは、利用状況や処理上の制約により上限を変更する場合があると案内しています。商談直前に初めて生成するのではなく、事前に必要枚数を作り、修正時間も見込んでください。
準備するもの
GoogleアカウントとGeminiアプリを使えるブラウザ
CADから書き出した住宅パース、ラフCG、白モデルのいずれか
変えたくない要素と、変えたい要素のメモ
採用予定の外壁、屋根、サッシ、床、家具などの正式な仕様資料
入力画像は、建物が画面内に収まり、輪郭と開口部が見えるものを選びます。低解像度、強い影、透過不足、文字や寸法線の重なりがある画像は、AIが誤解しやすくなります。顧客名、住所、図面番号など、画像生成に不要な情報は削除してからアップロードします。
元になるCADパースがない場合は?
図面や手描きスケッチから、ChatGPTなどで簡易3Dを作成し、ビューアで見せたい視点を選んでから、Geminiで実写化する方法もあります。
建物を別の方向から見たい場合や、外観・内観の視点を検討したい場合の選択肢です。ただし、AIが作成する簡易3Dは図面との整合性を保証するものではなく、元資料との照合・修正が必要です。
→ 図面・スケッチから簡易3Dを作り、選んだ視点から住宅パースへ展開する方法を見る
Geminiで住宅パースを作る5つの手順
手順1 CADパースを書き出す
3D-CADから、外観または内観のパースを画像として保存します。スクリーンショットでも試せますが、可能ならCADの画像出力機能を使い、輪郭がつぶれないサイズで保存します。最初は、斜め方向から建物全体を確認できる画像が扱いやすいでしょう。
手順2 Geminiへ画像をアップロードする
パソコンでgemini.google.comへアクセスし、Googleアカウントでログインします。画像を添付し、必要に応じてモデルを選びます。複数の参照画像や編集を重ねたい場合は、Nano Banana 2を使えるFlashまたはProを選びます。画面表示は更新されるため、ボタン名や位置が異なる場合があります。
手順3 条件を整理し、一度の生成で完成度を高める
最初の生成前に、変えない条件と変える条件を分けます。建物形状、素材、時間帯、植栽、カメラアングルを具体的に整理して伝えれば、一度の生成でも完成形へ近づけやすくなります。人物、車、家具など未確定の要素は必要なものだけに絞り、条件同士が矛盾しないようにします。
コピペ用:Geminiパース実写化プロンプト
以下は、形状固定、素材、光、外構、不要物を最初に整理し、一度の生成で高い完成度を目指すための基本型です。角括弧の中を案件に合わせて置き換えてください。
外観パースをフォトリアルに整えるプロンプト例①
添付した一戸建て住宅のCADパースを唯一の形状基準として、上質な建築写真のように自然でフォトリアルな提案画像へ仕上げてください。
カメラ位置、画角、建物の外形、屋根形状、軒、柱、バルコニー、窓と玄関の位置・数・大きさは変更しないでください。建物や開口部を追加・削除しないでください。
外壁は[素材・色・目地]、屋根は[素材・色]、サッシは[色]とし、各素材の凹凸、反射、粗さが実物らしく見えるようにしてください。
光は[時間帯]の自然光とし、白飛び、黒つぶれ、過度なHDR、強すぎる発光を避けてください。垂直線を保ち、自然なホワイトバランスにしてください。
外構は[舗装・植栽・塀など]とし、建物を隠さないでください。不要な人物、車、設備、文字、ロゴ、看板は追加しないでください。
このプロンプトのゴールは、CADパースの構図と建物形状を基準に保ちながら、素材、自然光、外構の質感を実写に近づけることです。ただし、結果は入力画像やモデル、生成条件で変わるため、形状と仕様の確認は必須です。
外観パースをフォトリアルに整えるプロンプト例②
添付された一戸建て住宅のパース画像をベースに、夕暮れ時のドラマチックな黄金色の自然光が優しく建物に回り込む、シネマティックで洗練されたフォトリアルな実写写真品質にアレンジしてください。
空には薄い雲が流れ、手前には風にそよぐアオダモの軽やかな植栽をそっと配してください。
文字やロゴの記載は一切不要です。カメラアングルや建物のフォルムは完全に維持してください。
生成にかかる時間は、使用するモデルや入力画像、指示内容、混雑状況によって変わります。
無機質だったCADパースでも、塗り壁の艶消しの質感や無垢材の木目、夕日の陰影を加えることで、完成後の雰囲気を想像しやすいフォトリアルな提案画像へ近づけられます。
手順4 生成結果を元画像と比較する
見た目の印象だけで採用せず、元のCADパースと並べて確認します。とくに、窓、屋根、軒、玄関、バルコニー、柱、外壁の目地、設備機器などは変化が起きやすい箇所です。
確認項目 | 見るポイント | 問題があったときの指示例 |
|---|---|---|
建物形状 | 外形、屋根、軒、柱、バルコニーが元画像と一致しているか。 | 建物の外形は元画像へ戻し、光と素材だけを変更してください。 |
開口部 | 窓と玄関の位置、数、大きさ、分割が変わっていないか。 | 窓の位置と数を元画像と一致させ、追加や削除をしないでください。 |
素材・色 | 採用予定の外壁、屋根、サッシ、床と一致しているか。 | 外壁だけを[製品の特徴]に変更し、他の部分は維持してください。 |
スケール | 人物、車、家具、植栽が建物寸法に対して不自然でないか。 | 建物は変更せず、人物と車を実寸に近い比率へ調整してください。 |
不要物 | 文字、ロゴ、照明、設備、植栽が勝手に増えていないか。 | 追加された[対象]だけを削除し、建物と背景は変更しないでください。 |
手順5 必要な画像を保存し、用途を明記する
画像をダウンロードし、元画像、生成日時、使用した指示、修正履歴と一緒に保存します。Google公式ヘルプでは、AIプランなしは1K、Google AIプラン利用者は2Kでダウンロードできると案内されています。最終的な納品サイズや印刷品質は、実際の画像寸法を確認してください。
お施主様へ見せる際は、検討用イメージであること、正式な図面・仕様書・見積書が基準であることを説明します。AI画像を契約図面や施工図の代わりに使用しないでください。
基本は一度で完成度を高め、必要なときだけ修正を分ける
私の基本は、変えない条件と変える条件を先に整理し、一度の生成で完成度をできるだけ高める方法です。修正を重ねると、直していない部分の形状や質感まで変わり、画像の精細感や一貫性が低下する場合があるためです。
方法 | 向いている場面 | 進め方 |
|---|---|---|
【方法A】 | 形状、素材、時間帯、外構の方針が決まっている。 | 条件を整理した実写化プロンプトで生成し、元画像と照合する。基本はこちらを優先する。 |
【方法B】 | 一部の仕様が未確定、または特定箇所だけ直したい。 | 完成度の高い画像を保存し、1回につき1〜2項目だけ修正する。崩れたら良い状態の画像へ戻る。 |
方法Bでも、修正後の画像へ何度も上書き編集を重ねるのではなく、基準となる良い画像を残します。修正が広範囲に及ぶ場合は、劣化した画像を直し続けず、元のCADパースと整理済みプロンプトから再生成する方が安定します。
個人で試す場合と工務店で導入する場合の契約
個人のGoogleアカウントは、操作確認や少数の画像を試す入口として使えます。AIプランなしでもNano Banana 2による画像生成を利用できますが、使用量には上限があります。個人向けのGoogle AI Plus、Pro、Ultraでは、プランに応じて利用上限や機能が増えます。
一方、顧客情報や未公開案件を扱う工務店では、担当者ごとの個人契約に任せず、Google Workspaceの組織アカウントで運用することを推奨します。Google Workspaceでは、管理者がアカウント、利用権限、AI機能の利用状況を組織として管理できます。対象となるWorkspace環境では、入力内容が許可なく生成AIモデルの学習に使われず、人による確認も行われないとGoogleは説明しています。ただし、顧客名、住所、図面番号など、画像生成に不要な情報は契約にかかわらず削除してください。
利用方法 | 向いている場面 | 工務店での考え方 |
|---|---|---|
個人のGoogleアカウント | 操作確認、少数案、公開可能なサンプルでの試用。 | 本格運用前の検証用。顧客案件の管理を個人任せにしない。 |
Google Workspace | 複数担当者による継続利用、組織管理が必要な業務。 | 工務店で継続利用する際の選択肢として推奨。管理者が利用者と設定を管理できる。 |
WorkspaceとAI Expanded Access | 画像や動画を多く生成する設計、営業、広報担当者。 | 必要な担当者だけに追加ライセンスを割り当て、利用量を確認する。 |
画像生成を多用する担当者にはAI Expanded Accessを検討する
AI Expanded Accessは、Google Workspaceの対象プランに追加し、GeminiアプリやWorkspace内の生成AI機能をより多く使う担当者向けのライセンスです。Googleの案内では、Business Standard、Business Plus、Enterprise Standard、Enterprise Plusが対象で、Business Starterは対象外です。全社員へ一律に付けるのではなく、住宅パースを作る設計担当、提案資料を作る営業担当、画像や動画を作る広報担当など、利用量の多いユーザーへ割り当てる運用が現実的です。
Googleが示すNano Banana Proの月間上限には、GoogleスライドとGoogle Vidsで共有されるWorkspaceアプリ側の枠があります。これはGeminiアプリ側の上限とは別に扱われます。そのため、実際に利用できる生成量は、使用するアプリ、機能、契約内容によって異なります。実際の上限は、使用するアプリ、機能、契約、管理画面の表示を確認してください。
導入時は、必要枚数、修正回数、担当者数に加え、保存場所、ファイル名、元図面との照合者、社外提示時の注記を決めます。管理者はGoogle Workspaceの管理コンソールでAI機能の利用状況を確認し、追加ライセンスの対象者を定期的に見直します。価格、対象プラン、上限は変更されることがあるため、契約前にGoogle公式情報を確認してください。
透かしを消す前に知っておくこと
Geminiアプリには、目に見える透かしの表示を管理する設定があります。ただし、この設定は目に見える透かしだけを対象とし、Geminiで生成・編集したメディアに埋め込まれるSynthIDやContent Credentialsには影響しません。
可視透かしの削除だけを目的に画像を加工すると、出所表示や社内ルールとの整合を損なう場合があります。まずGeminiアプリの「設定とヘルプ」から「メディアの透かし」を確認し、用途、契約、社内の表示方針に合わせて扱います。国・地域やプランにより設定の提供条件が異なる場合があります。
無料のWindows「フォト」アプリで行う簡易レタッチ
Windowsに標準搭載されている「フォト」アプリは、生成画像に残った小さなノイズ、不要な点、余分な小物などを短時間で整える仕上げ加工にも使えます。「画像の編集」を開き、利用できる場合は消去または生成消去の機能で対象を小さくなぞり、周囲の形状や質感が不自然になっていないか確認します。機能名や利用可否はWindowsとフォトアプリのバージョンによって異なります。
他の画像生成・編集アプリでは可視透かしが表示される場合があります。透かしを扱うときは、まずアプリ側の表示設定と利用条件を確認してください。フォトアプリによる方法は、利用条件の範囲内で行う簡易修正や仕上げ加工として有効ですが、必要な帰属表示を消したり、AI生成物であることを偽ったりするためには使用しません。
工務店実務でよくある失敗と対策
失敗 | 原因になりやすいこと | 対策 |
|---|---|---|
窓や屋根が変わる | 雰囲気の指示が強く、維持条件が曖昧。 | 元画像との比較項目を決め、形状と素材の修正を分ける。 |
CGっぽさが残る | 光、素材、背景の条件が抽象的。 | 時間帯、光の方向、素材の反射、植栽量を具体化する。 |
修正するほど崩れる | 一度に複数箇所を変更し、基準画像が失われる。 | 良い画像を都度保存し、1回につき1〜2項目だけ直す。 |
実在建材と違う | 製品名だけで形状や色を推測させている。 | 正式資料を参照し、特徴を文章化して照合する。 |
商談で誤解される | 完成予想として断定し、未確定部分を説明していない。 | 検討用イメージと明記し、正式図面・仕様を基準に説明する。 |
よくある質問
Q1 Geminiは無料で住宅パースを作れますか?
はい。AIプランに加入していないアカウントでもNano Banana 2による画像生成を試せます。ただし、使用量には上限があり、上限や提供条件は変更されることがあります。継続的に複数案件で使う場合は、有料プランを含めて運用量を確認してください。
Q2 何秒で画像ができますか?
処理時間は、混雑、モデル、入力画像、指示内容で変わります。短時間で生成される場合もありますが、「必ず10秒」とは限りません。商談で使う画像は事前に作成し、形状と仕様を確認してください。
Q3 建物の形をそのまま維持できますか?
維持するよう指示はできますが、完全な一致は保証されません。窓、屋根、玄関、柱、外壁の目地などを元図面と比較し、正式な設計資料を優先します。形状維持を重視する場合は、修正範囲を分け、基準画像を残してください。
Q4 手書きスケッチや立面図からも作れますか?
作成できますが、CADパースより奥行きや形状の解釈が増えるため、確認項目も多くなります。立面図から作る場合は、外形、屋根、開口部、階高、敷地との関係を別途確認してください。
Q5 画像をお施主様へ見せてもよいですか?
提案や方向性確認には使えます。ただし、AIが生成した検討用イメージであり、正式な図面、仕様書、見積書と異なる場合があることを説明してください。入力画像の権利、顧客情報、Googleの利用規約、社内ルールも確認します。
まとめ 無料で試し、確認できる工程へ変える
Geminiを使えば、既存のCADパースを基に、光、素材、植栽、背景を整えた住宅提案画像を作れます。AIプランなしでも試せますが、回数無制限ではなく、出力は設計図書でもありません。
最初は一つのパースで試し、元画像と比較しながら、形状、開口部、素材、スケール、不要物を確認してください。生成と確認の手順を残せば、担当者が変わっても使いやすい実務フローになります。
次の一歩
AIパースを自社の住宅提案に活かしたい方へ。建築AI実践バイブルでは、既存CADパースの実写化から、生成画像の確認・修正までを、プロンプト例と実務チェックリストで学べます。
自社のAI活用状況と、次に取り組む課題を確認したい方は、無料診断をご利用ください。