AIで作成した住宅パースを動画にしたとき、
「建物が途中で切れてしまった」
「縦型にしたら玄関や外構が見えなくなった」
「動画生成AIに入れたら、構図が大きく崩れた」
という経験はないでしょうか。
建築AI動画を効率よく作るには、動画生成の段階だけでなく、その前に作る静止画のアスペクト比と構図が重要です。
最初から掲載先に合った比率で住宅パースを作り、動かすための余白を確保しておけば、動画化した後のトリミングや作り直しを減らせます。
この記事では、Geminiで作成する住宅パースを建築AI動画へつなげるための、実務的な考え方と手順を紹介します。
アスペクト比とは、画像の「縦横の形」
アスペクト比とは、画像や動画の横幅と縦幅の比率です。
代表的な形式には、次のようなものがあります。
アスペクト比 | 主な用途 | 建築画像での使い方 |
|---|---|---|
16:9 | Webサイト・YouTube・横型動画 | 建物全体や外構まで広く見せる |
9:16 | Instagramリール・YouTubeショート | スマートフォン向けの縦型動画 |
1:1 | SNS投稿・サムネイル | 建物や室内の要点を中央に配置する |
4:5 | SNSフィード | 縦方向の情報量を確保しながら見せる |
なお、アスペクト比と解像度は別のものです。
同じ16:9でも、画像のピクセル数によって解像度は異なります。まずは掲載先に合わせて画像の「形」を決め、その後に必要な画質を確認するという順番が分かりやすいでしょう。
Geminiで指定できる比率や出力条件は、使用するモデル、プラン、画面、アップデートによって変わる場合があります。実際に生成するときは、利用中の画面に表示される選択肢や最新の公式情報も確認してください。
なぜ動画を作る前にアスペクト比を決めるのか
静止画であれば、多少のトリミングをしても大きな問題にならないことがあります。
しかし、動画ではカメラが動きます。静止画の端に建物が寄りすぎていると、わずかなズームや横移動でも屋根、外壁、家具などが画面から切れてしまいます。
さらに、横長の住宅パースを後から縦型動画へ変更すると、左右が大きく削られます。横方向に広い住宅では、玄関や庭、隣接する外構が見えなくなる可能性があります。
そのため、建築AI動画では次の順番が重要です。
動画を掲載する媒体を決める
最終的なアスペクト比を決める
その比率に合わせて静止画を作る
動画で動かすことを考えて余白を残す
完成した静止画を動画生成AIへ渡す
「まず横長の画像を作り、後から縦型に切り抜く」のではなく、最初から用途別に構図を設計することが、手戻りを減らすポイントです。
建築AI動画に向いた住宅パースの構図
建物を画面いっぱいに入れすぎない
動画に動きを加える場合、建物の周囲にある程度の余白が必要です。
外観パースなら、屋根の上、建物の左右、道路や前庭を少し広めに確保します。室内パースでは、家具や照明器具を画像の端ぎりぎりに置かないようにします。
ただし、余白を増やしすぎると建物が小さく見えます。最終媒体の画面サイズを考えながら、「動かすための余白」と「建物の見やすさ」のバランスを取ります。
縦型では主役を中央付近に置く
9:16の縦型動画では、横方向に使える範囲が狭くなります。
建物の見せ場を左右に広げるより、玄関、リビング、キッチンなど、見せたい場所を中央付近に配置した方が安定します。
SNSでは画面上に文字や操作ボタンが重なる場合もあります。重要な設備や建物の特徴を上下左右の端に置かないことも大切です。
1枚の静止画から無理に大きく動かさない
1枚の画像には、写っていない部分の正確な情報がありません。
そのため、静止画から建物の裏側まで回り込むような大きなカメラ移動を指示すると、窓、屋根、外壁、外構などが途中で変形することがあります。
建築物の形を保ちたい場合は、次のような小さな動きから試す方が安全です。
ゆっくりと前進する
わずかに左右へ移動する
室内を静かに見渡す
照明や自然光を穏やかに変化させる
樹木やカーテンだけを自然に動かす
派手なカメラワークより、建物の形状を守ることを優先します。
実例|同じ海の別荘を横型・縦型で作り分ける
横型と縦型では、同じ建物でも適した構図が異なります。
横型画像では、海、空、テラス、建物の広がりを一つの画面に収めやすく、別荘と周辺環境の関係を伝えられます。WebサイトやYouTubeなど、横型動画の開始画像にも向いています。
一方、縦型画像では横方向の情報量が限られるため、建物の見せ場を中央付近に配置します。海や空を上下方向に取り込みながら、玄関、テラス、リビングなど、主役となる場所を明確にすることが大切です。
同じ海の別荘でも、横型画像をそのまま切り抜いて縦型にするのではなく、使用する媒体に合わせて視点と構図を作り分けることで、建物の魅力を保ったまま動画へ展開できます。
横型|建物と海の広がりを伝える構図

横型では、建物全体に加えて、海、空、テラス、周囲の景観まで広く見せられます。動画でゆっくり前進したり、左右へわずかに移動したりできるよう、建物の周囲にも余白を確保しています。
画像キャプション:
同じ海の別荘を16:9の横型で構成した例。建物と海の広がりを見せながら、動画で動かすための余白を確保している。
縦型|見せ場を中央に絞った構図

縦型では、建物の見せ場を中央付近に置き、海と空を上下方向に取り込みます。横型画像を単純に切り抜くのではなく、スマートフォンで見たときに建物の魅力が伝わるよう、視点と画角を調整しています。
画像キャプション:
同じ海の別荘を9:16の縦型で構成した例。建物の見せ場を中央に置き、スマートフォン向け動画へ展開しやすくしている。
画像作成時の重要な条件
2枚は次の条件をそろえると、比較例として説得力が高まります。
同じ建物・外壁・窓・テラスを使用する
同じ時間帯と天候にする
海の方向や周辺環境を変えない
横型は16:9、縦型は9:16にする
縦型を横型画像の切り抜きだけで済ませない
それぞれの比率に合わせてカメラ位置と構図を調整する
Geminiで動画用の住宅パースを作る手順
1.掲載先と比率を決める
最初に、動画をどこで使用するかを決めます。
WebサイトやYouTubeで使うなら横型、InstagramリールやYouTubeショートなら縦型が基本です。複数の媒体で使う場合は、同じ画像を無理に使い回さず、横型と縦型を分けて作成すると構図を整えやすくなります。
2.元になる資料を用意する
必要に応じて、次の資料をGeminiへ入力します。
CADパース
立面図
敷地写真
室内の参考画像
外壁や床材などの仕上げ資料
資料を入力する場合も、AIが図面や写真を完全に理解・再現するとは限りません。生成後は、窓、屋根、設備、建材、外構などを人が確認してください。
住宅パースの基本的な作成手順は、以下の記事で詳しく解説しています。
Geminiで住宅パースを作る方法|無料AIでフォトリアルな提案画像を作る工務店実務
3.アスペクト比と用途をプロンプトで伝える
アスペクト比だけでなく、何に使用する画像なのか、どのように動画化するのかまで伝えます。
横型動画用の例:
添付した住宅パースをもとに、横型動画の開始画像として使用できるフォトリアルな外観画像を作成してください。アスペクト比は16:9。建物の形状、窓、屋根、外壁の位置を維持してください。動画でゆっくり前進するため、建物の上下左右に自然な余白を確保してください。文字やロゴは追加しないでください。
縦型動画用の例:
添付画像をもとに、スマートフォン向け縦型動画の開始画像を作成してください。アスペクト比は9:16。玄関と建物正面を画面中央付近に配置し、建物の形状と外壁材を維持してください。上下に余白を残し、重要な部分を画面の端に配置しないでください。
プロンプトで比率を指定しても、利用環境や生成結果によって希望どおりにならない場合があります。出力後は実際の縦横比と構図を確認し、必要であれば再生成します。
4.建築的な間違いを確認する
見た目が美しくても、建築パースとして正しいとは限りません。
動画化する前に、少なくとも次の部分を確認します。
窓や玄関の数と位置
屋根の形状
外壁材や色
柱、梁、手すり
水栓、レンジフード、照明などの設備
階段や家具の形
敷地と道路の関係
不自然な文字やロゴ
人物の手や顔
AIサービス由来の表示やウォーターマーク
静止画の時点で残っている間違いは、動画にしても解消されるとは限りません。むしろ、動きによって変形が目立つ場合があります。
5.完成した静止画を動画生成AIへ渡す
静止画が完成したら、利用する動画生成AIへ入力します。
動画用プロンプトの例:
建物の形状、窓、屋根、外壁、外構を変更しないでください。カメラは住宅へ向かってごくゆっくり前進します。樹木の葉だけが風で自然に揺れます。新しい建物、窓、文字、人物は追加しないでください。
一度に多くの動きを指定するより、カメラ、光、樹木など、動かす要素を絞った方が結果を確認しやすくなります。
横型と縦型を効率よく作り分ける方法
横型画像を単純に縦型へ切り抜くと、住宅の一部が欠けることがあります。
効率を優先するなら、次の方法がおすすめです。
方法1:最初から横型と縦型を別々に生成する
媒体ごとに構図を最適化できるため、最も確実です。
同じ元資料と基本プロンプトを使い、アスペクト比と構図の指示だけを変えます。
方法2:重要部分を中央に置いたマスター画像を作る
複数媒体への展開を前提として、主役を中央付近に配置し、周囲に広めの余白を設けます。
横型・正方形・縦型へ切り抜きやすくなりますが、すべての媒体で最適な構図になるとは限りません。
方法3:動画公開前に短いテストを作る
いきなり長い動画を作るのではなく、まず短い動画で建物の変形や画面端の切れ方を確認します。
問題があれば、元画像の構図やカメラ移動を調整してから本生成へ進みます。この方が、生成のやり直しを減らせます。
AI動画は「完成形の保証」ではなく「提案を伝える素材」
AIで作成した住宅画像や動画は、お施主様の理解を助ける提案資料として有効です。
一方で、生成結果には図面と異なる表現や、実際には施工できない形状が含まれる可能性があります。AI動画だけで仕様を確定せず、契約図面、仕様書、見積書などの正式な資料と区別して使用する必要があります。
また、利用するAIサービスごとに、生成物の利用条件、表示、ウォーターマーク、出所情報などの扱いが異なる場合があります。公開や商用利用の前に、利用中のサービスの最新規約を確認してください。
まとめ|動画の完成度を高めるには、静止画の比率と構図から整える
Geminiで作成した住宅パースを建築AI動画へつなげるときは、動画生成AIの性能だけでなく、元画像のアスペクト比と構図が重要です。
最初に掲載先を決める
掲載先に合ったアスペクト比で作る
動画の動きを考えて余白を残す
建物の形状や設備を静止画の段階で確認する
大きなカメラ移動を避け、少ない動きから試す
横型と縦型は、必要に応じて別々に生成する
この流れを決めておけば、動画化した後のトリミングや再生成を減らし、工務店の提案業務でも使いやすくなります。
実際のAIパースや建築AI動画は、こちらでご覧いただけます。
建築AIパース・動画ギャラリー|工務店の住宅提案を変える実例集
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