AIパースは、建物を美しく見せるだけの完成予想図から、お施主様がそこで過ごす未来の暮らしを考えるための提案資料へ進化しています。
窓の形、外壁、床、家具などを再現することは大切です。しかし、お施主様が本当に思い描いているのは、建物の仕様だけではありません。
「休日に家族とどのように過ごしたいか」
「中庭やガレージを何のために使いたいか」
「新しい家で、どのような時間を大切にしたいか」
こうした言葉になりきらない希望を、人物、ペット、光、家具、植栽、趣味などを通して一枚の情景へ変える。それが、Freespace & Ideasの提唱するEmotion Staging™です。
Emotion Staging™とは
Emotion Staging™とは、生成AIを活用し、お施主様の好み、価値観、憧れ、休日の過ごし方などを、住宅パースの中に「暮らしの情景」として描く提案方法です。
単におしゃれな家具や人物を追加することが目的ではありません。
建物の設計条件を基準にしながら、その空間で誰と、いつ、何をして過ごしたいのかを具体的に表現し、お施主様とつくり手が暮らしの方向性を共有するために使います。
Emotion Staging™は、住宅提案の考え方と実践方法を束ねるEmotion AI™の一つです。ヒアリングやスケッチ、動画など、8つの方法の位置づけと使い分けは、総論記事で紹介しています。
従来の住宅パース
建物形状や間取り、仕上げを確認する
家具は空間の大きさを示すために配置する
完成後の建物を説明する
Emotion Staging™
家族構成や趣味、休日の過ごし方を反映する
人物、ペット、光、植栽などで時間の流れを描く
完成後の暮らしについて対話する
建築としての正確さと、暮らしを想像できる情緒的な表現は、どちらか一方を選ぶものではありません。
設計図や仕様書で建物を確認し、Emotion Staging™で未来の暮らしを話し合う。役割を分けて活用することが大切です。
Emotion Matrix™で、好みを暮らしの情景へ変える
暮らしのイメージをAIへ伝える前に、まずお施主様との対話から必要な要素を整理します。
Freespace & Ideasでは、そのためのヒアリング方法をEmotion Matrix™として整理しています。
確認する主な要素は、次の5つです。
確認する要素 | 質問例 |
|---|---|
光・時間帯 | 朝、昼、夕暮れ、夜のうち、どの時間が好きですか |
植栽・自然 | どのような緑や風景に心地よさを感じますか |
趣味・過ごし方 | 休日は家で何をして過ごしたいですか |
家族・ペット | 誰と、どの場所で、どのような時間を過ごしたいですか |
写真の雰囲気 | 明るい、静か、温かい、上質など、どの雰囲気が近いですか |
たとえば「広い中庭が欲しい」という要望だけでは、中庭の大きさや形の話で終わりがちです。
そこからさらに、「誰と使うのか」「どの時間帯に使うのか」「食事、遊び、くつろぎのうち何を重視するのか」を聞くことで、設計と暮らしを結び付けられます。
画像は完成案として一方的に見せるのではなく、「この過ごし方は近いですか」「もっと静かな雰囲気が好みですか」と対話を深める材料として使います。
→ 手書きスケッチをAIで住宅パースにする方法|Emotion Sketch™でお施主様の想いを形にする
静止画で暮らしを描き、動画で時間を伝える
Emotion Staging™で作成した静止画は、短尺動画へ展開できます。
静止画は、その空間で実現したい暮らしを一場面として確認するのに適しています。一方、動画では、人の動き、光の変化、風に揺れる植栽などを加え、その場で流れる時間まで表現できます。
Freespace & Ideasでは、静止画から空間体験や暮らしの時間を動画へ展開する方法をEmotion Movie™と呼んでいます。
ここからは、中庭、ガレージ、リビングという3つの実例を紹介します。
実例1|中庭で、家族や仲間、愛犬と過ごす時間
建物に囲まれた中庭へ、家族、友人、子ども、愛犬を加え、夕暮れの団らんを表現しました。
テント、焚き火、ランタン、アウトドアチェアなどを配置することで、中庭が眺めるだけの場所ではなく、人が集まって食事や会話を楽しむ場所として伝わります。
静止画で伝わること
静止画では、中庭の広さ、建物との囲まれ方、家具や人の配置、夕暮れの照明などを一度に確認できます。

動画で伝わること
人物のしぐさ、焚き火や照明の揺らぎ、庭木の動きが加わることで、中庭に流れる時間とにぎわいを感じやすくなります。
家族や仲間、愛犬と過ごす夕暮れの中庭を、静止画からEmotion Movie™へ展開した例
実例2|ガレージで、子どもと夏休みを過ごす
車を収めるだけのガレージではなく、子どもとプール遊びを楽しむ夏の一日を描きました。
ガレージは、車、工具、アウトドア用品などを収納する機能的な空間です。一方で、休日には趣味や家族の時間を受け止める場所にもなります。
静止画で伝わること
車、プール、家族、自転車、サーフボードなどを一つの場面に配置することで、ガレージの広さや多目的な使い方を具体的に想像できます。

動画で伝わること
水や人物の動きが加わると、ガレージが単なる駐車スペースではなく、家族の思い出が生まれる場所として伝わります。
ガレージで子どもとプール遊びを楽しむ夏休みの情景を、Emotion Movie™へ展開した例
※実際の利用では、車との距離、床の防水・排水、電気設備、収納物、転倒防止などの安全性を別途確認します。
実例3|リビングと中庭で過ごす、家族と愛犬の休日
リビングと中庭がつながる住宅に、料理をする親子、読書を楽しむ家族、くつろぐ愛犬を加えました。
家族全員が同じことをしているのではなく、それぞれが好きなことをしながら緩やかにつながっている休日を表現しています。
静止画で伝わること
リビング、ダイニング、キッチン、中庭の関係と、それぞれの場所で家族がどのように過ごせるかを一枚で共有できます。

動画で伝わること
人物や愛犬のわずかな動き、カーテンや植栽の揺れが加わることで、室内と中庭がつながる穏やかな休日の空気感を伝えられます。
家族と愛犬がリビングと中庭で過ごす休日を、静止画からEmotion Movie™へ展開した例
静止画と動画は役割が異なる
静止画と動画は、どちらか一方だけを選ぶものではありません。
表現方法 | 主な役割 |
|---|---|
静止画 | 建物、家具、人、光などを一画面で比較・確認する |
動画 | 人や自然の動き、時間の流れ、空間の雰囲気を伝える |
図面・仕様書 | 寸法、材料、設備、施工内容などの正式な情報を確認する |
静止画で暮らしの方向性を確認し、動画でその場に流れる時間を体験してもらい、図面と仕様書で実際の設計内容を確定する。この役割分担が重要です。
→ Virtual Staging™からEmotion Staging™・Emotion Movie™への展開事例を見る
AI画像・動画は完成保証ではない
AIで生成した画像や動画には、実際の計画と異なる表現が含まれることがあります。
特に、次の点は公開や提案の前に確認が必要です。
建物の形状や窓の位置が変わっていないか
家具や人物の大きさが不自然ではないか
指や顔、手足などに生成ミスがないか
照明、設備、建具、手すりなどが消えていないか
動画の途中で建物や家具の形が変化していないか
実際には採用しない建材や設備が描かれていないか
人物、音楽、参照画像などの利用条件に問題がないか
Emotion Staging™とEmotion Movie™は、設計図、仕様書、構造・法規確認の代わりになるものではありません。
お施主様へ提示するときは、「暮らし方や空間の方向性を共有するためのAI生成イメージ」であることを明示し、正式な設計内容は図面と仕様書を基準にします。
→ AIパースのクレームを防ぐ確認書|工務店がお施主様と合意しておく実務ポイント
AIの目的は、対話の時間を増やすこと
Emotion Staging™の目的は、美しい画像を大量に作ることではありません。
AIに初期案の作成や複数案の比較を任せることで、これまで画像制作に使っていた時間を減らし、お施主様の話を聞く時間、設計を考える時間、内容を確認する時間へ戻すことが目的です。
AIは建物を描けます。
しかし、その家で誰が、どのような時間を大切にして暮らすのかを考え、設計や提案へつなげるのは人です。
建物の説明から、未来の暮らしを一緒に考える提案へ。
Emotion Staging™は、その対話を支えるための建築AI活用メソッドです。
→ Freespace & IdeasのAI活用の流儀を見る
自社の住宅提案で試すために
工務店のための「建築AI実践バイブル」では、既存パースの実写化、Emotion Matrix™によるヒアリング、Emotion Staging™、Virtual Staging™、短尺動画への展開、画像確認のルールなどを実務の流れに沿ってまとめています。
まず自社で試し、住宅提案に取り入れられるかを確認したい工務店・設計事務所の方は、詳細をご覧ください。
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